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脳血管内治療科

脳血管内治療について

脳血管内治療画像

 脳血管内治療とは脳や脳に関連する血管に対して、皮膚を切開したり頭蓋骨を開けたりすることをせず、血管の中から治療を行う手術です。
手術の方法は身体の表面近くにある太い動脈からカテーテルというを管を挿入し、目的の血管近くまで進めます。
その中にさらに細いカテーテル(薬品やコイルを用いるための管)やバルーンカテーテル(血管を拡張させる管)、或いはステント(血管を拡張させる道具)を入れ、目的の病変部位まで進めて治療を行います。

脳血管内治療の対症となる疾患は主に出血の原因となる脳動脈瘤、脳血管奇形等と、脳梗塞の原因となる頭頸部・頭蓋内血管の狭窄・閉塞などがあります。
出血の原因となるような病変に対してはプラチナコイルや液体塞栓物質、粒状塞栓物質等を使って病変部を閉塞脳血管内治療 します。
又、狭くなったり詰まってしまった血管に対してはバルーンカテーテルやステントを使って血管を拡げ脳梗塞の進行を予防します。

脳動脈瘤塞栓術

脳動脈瘤塞栓術
 脳動脈瘤塞栓術 脳動脈瘤は人口の約1%の人にみられるという報告もあります。 これが破裂すると、くも膜下出血を起こしますが、破裂を来すと重篤な状態に陥ることが多く、大半の患者さんが(約50%)破裂と同時に死亡するか、昏睡状態におちいります。また、病院に搬入されて治療を受けても、正常の状態に社会復帰できるのは、さらにその半分という報告もあります。

 出血を繰り返すたびに死亡率は上がります。
 診断時に手術可能な状態であれば緊急で再破裂予防の手術が行われます。従来は開頭してクリップで動脈瘤の根本を閉じる治療が行われていましたが、現在はプラチナコイルを用いて瘤を詰めてしまう塞栓術も行われるようになってきました。

 2002年に発表されたLancetの論文では、血管内治療、すなわち、脳動脈瘤塞栓術で治療した患者の方が1年後の生活レベルが良好であったと報告されています。また、2006年に発表されたCARAT studyでは長期成績が示され、約9年間の追跡を行った904人中再破裂を来した患者は1例(0.11%)でした。
 この結果、脳動脈瘤塞栓術は従来のクリッピング術と肩を並べる結果であると結論しています。
プラチナコイル写真
プラチナコイル写真

実際の適応

 クリッピング術と脳動脈瘤塞栓術が同等と評価されても、実際には利点欠点がそれぞれにあります。
 脳動脈瘤塞栓術を行う場合には、その適応を十分に評価しなければなりません。重要なのは動脈瘤の形状と周囲の血管との位置関係です。
 一般に動脈瘤の直径は10mm以下が望ましく、さらに Neck(動脈瘤の付け根の部分)が狭いこと、瘤の直径とNeck の直径の比が2:1より大きいことが望ましいと言われています。
 Neck の大きな動脈瘤ではコイルがはみ出したり、合併症を起こす可能性が高くなります。
大動脈瘤画像1
大動脈瘤画像2
大動脈瘤画像3
 さらに動脈瘤は通常血管の分岐部に出来ることが多いので、時には動脈瘤から直接血管が分岐していることもあります。その場合、塞栓術を無理に行うと分岐している血管も一緒に閉塞してしまう可能性があり、脳梗塞を合併する可能性があります。このような場合はクリッピング術が第一選択となります。
 脳動脈瘤塞栓術、クリッピング術のそれぞれに得手不得手があり、慎重に適応を決める必要があります。
 塞栓術の良い適応は脳底動脈瘤や椎骨動脈瘤、内頸動脈ー眼動脈瘤等、開頭した場合に非常に深部でクリッピング操作の困難な部位では塞栓術が第一選択となります。

頸部頚動脈狭窄症

頸部頚動脈狭窄症
PRECISE
ステント留置術
写真 1
ステント留置術
写真 2
 以前は、欧米人に多い疾患とされてきましたが、日本人の食生活の内容が年々欧米化するにしたがい徐々に増加傾向を示しています。
 数年前まで標準的治療は、頸動脈内膜剥離術( Carotid endarterectomy:CEA)でした。この CEAに関しては、欧米を中心に大規模な多施設共同研究がなされ内服薬のみで治療する方法と(内科治療)、CEA(外科治療)ではその後の脳梗塞の発症予防としては CEAの方がすぐれているという結果が出ています。
 最近では CEAに代わり頸動脈ステント留置術という血管内治療も行われております。現在のわが国の社会生活を考えると、この疾患はますます増加することが予測される疾患の一つだと思われます。

 ステント留置術は、血管の内腔から狭窄部に金属のメッシュで出来た円筒状の内張を入れて血管を拡げます。欧米では既に何千例もの治療が行われています。国内でもまもなく保険適応となる予定です。
 実際には狭くなった部位をいきなり風船で拡げても狭窄の原因となっている動脈硬化斑のかけら(コレステロールの塊や血栓)が末梢に(脳の 動脈)飛んでいく可能性があるため、予め小さな風船を末梢に入れておき血流を遮断して行います。
 血流を遮断した後、狭窄部位を拡張しステントがその部位を通過できるようにします(前拡張)。その状態となって初めてステントを留置します。(写真2)

 頭側に小さな風船をふくらまして血栓やコレステロールのかすが、脳の血管に飛んでいかないように予防します。
 その間に狭窄部で前拡張用の風船でステントが通過できるように拡張します。
(写真1)は前拡張を行っているところです。
 前拡張後ステントを留置し、遮断された血液中の血栓やコレステロールのカスは風船と交換された血栓吸引用の細いカテーテルで吸引します。
 これで血管の中がきれいになった状態ではじめて小さな風船を解除して終了です。必要に応じて後拡張を行います。(写真2)

血管画像
 本治療法の効果とリスク 本治療法は切開することなく、又長時間の血行遮断せずに、血行再建が行えるのが大きな利点です。
 本治療の成功率は、欧米の多数の例の報告でも当院の結果でも、概ね97%以上の高い成功率が得られます。
本治療のリスクとしては以下のものが挙げられます。
  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • 血管解離
  • 徐脈、血圧低下
  • その他、穿刺部の血腫形成による痛み、一時的な醜状、貧血、血圧低下があります。

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